ところが、6月半ばの夕方、母さんに買い物を頼まれて、近所のスーパーへ行くと、彼女を見かけた。

俺がレジにいる間に彼女はスーパーを出てしまった。俺は急いで会計を済ませ、彼女を追う。

「空井さんっ!」

走って駆け寄る。

彼女はゆっくりと振り向いた。

月明かりに照らされた彼女の顔には驚きと戸惑いが入り混じっていた。

「夕飯の買い出し?」

俺は走って上がった息を整えてから言う。

「俺は母さんに牛乳買ってこいって言われちゃってさ。荷物重そうだね。俺は少ないから持つよ。」

「大丈夫だから。」

「俺が持ちたいの。」

そう言って強引に彼女の買い物袋を半分持つ。

彼女は少しため息をついて、歩き出した。

彼女の私服姿を初めて見る。Tシャツにジーパンとラフな格好だが、スタイルが良く、何でも似合う。