いつもと変わらない朝だった。



みんなの心の中を除いては。




あんなに綺麗だった、昨日の夕焼けとは裏腹に、今日は暗かった。




「雨…、降るね。」




たった一言そう言った愛ちゃんに、ダイニングは一段と暗さを増す。




「くぅ-ん。」



僕が行く。守るんだ。


僕にはもう、ただそれしか見えていなかった。




「けん。」



何かを察したように愛ちゃんが言った。




「心配しないで。」


愛ちゃんはにこっと微笑んで、ぽんぽんと僕の頭を撫でる。



張り詰めていたダイニングの空気が、一気に緩んだ気がした。




「あたし、行くね。」