「わん」



複雑な気持ちだった。


僕にもわかる。





(なんかあるんだ)




お母さんは何か嫌な予感を感じたんだろう。



自分の大切な人に起こる、不吉な事の予感。




愛ちゃん…




僕が守らなきゃ。
大切な人を守るための、僕に持たされただけの、この力で。

僕が命を懸けて守りたい大切な人のために。




ただただ考えた。


考えられないくらい、大きな事。


大事な事。




きっと、僕がいなくなるより、愛ちゃんがいなくなる事の方が、僕にとっても誰にとっても1番悲しい。



愛ちゃんのくれたこの大切な名前に懸けて、愛ちゃんを懸けて、僕が守る。





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