近い、近くだ。 鼻が教えてくれる。 慣れ親しんだ、1番よく知る臭い。 ここは…、 前に来た覚えがある。 きっと初めて出かけた場所かもしれない。 なんとなくそんな気がした。 「わん!(愛ちゃん!)」 目の前に映った、愛しい人の名前を呼ぶ。 「あ、けん!」 振り返りいつもの笑顔を向ける。 僕は一目散に愛ちゃんの元へ走った。