季節は冬。

“北陸”とよばれるそこそこ有名な雪国でも雪は少しずつとけていた。

校庭の前にならぶ桜の木も花を咲かせようとしてる。


「優!」


校門近くの岩に腰掛けていた私を呼ぶ声はひときわ響いた・・・気がした。


「悪い、部活遅くなった・・・!」

「別にいいよ、私らの部活もさっき終わったとこだし。」


かっこいいと噂される男バスの黒色のジャージを着て私に必死に謝ってくる翼は私の彼氏。

もう少しで半年。


「ほんっと悪い!」

「だからいいって、試合近いんでしょ?」

「・・・近いって・・・明日ですけど?」


「し・・・知ってるよ!ちょ、ちょっと間違えちゃっただけ・・・」


「・・・そっか」


「ほんとだよっ!嘘じゃないからっ!」


「わかってるって!」


ああ・・・

幸せだ


幸せ・・・だ


こういう何気ない幸せが永遠に続けばいいのにって・・・

いっつも願っちゃう


「あー明日試合かー・・・」


「応援行くよ」


「・・・ん、待ってる」


翼が私の額に唇を近づけた・・・けど・・・


私はそれを拒否する



「・・・外でこういうことはしないでって言ってるでしょ?」


「・・・いいじゃん、外じゃなくて屋内でやっても拒否るくせに」


「だから翼の誕生日からはいいって言ってるじゃん」


「・・・俺の誕生日まであとどれだけあると思ってんの?」


「・・・あと12日」


「うわーそんなに待てねぇよ!」



・・・本当に幸せ


“大好きだよ”って照れずに言えれば


こういうことも拒否しなくなれば


私もあなたも幸せかな・・・?



だとしたらあなたの誕生日にそれをあげたい