気分が乗らない理由はもう一コ、ある。


進路のことだ。



あけみちゃんに怒られちゃったから、


オレは適当な大学を5つ選んで書き出し


提出した。


その学部が何を勉強するのかもよく知らないし、


その大学がどこにあるのかすら、把握していなかった。


あけみちゃんは、ちらっとオレのほうを見てから


「ふーん。」とだけ言った。



真剣に考えていないのが、バレバレだ。


そんな風だから、みすずにも振られたんだ。


制服を着ている間は何とかごまかせても


高校を卒業したら、オレはきっと何も持っていない


つまんねぇやつになる。


みすずは、それを敏感にかぎとってオレから


離れて行った。


女って、ほんと現実的だよな。


心の中で愚痴ってみるが、実は全部オレのせいだ


って気づいているので、誰にも言わない。


頬にぶつかる風が冷たくなってきた。



そういうわけで、オレはちょっとすさんでいた。