今まで、結構な数の女と付き合ってきて


もちろん別れたりもしたけど、


まさか、みすずに振られると思っていなかった。


動揺しているのを自覚してから、


オレこいつのこと好きだったんだなあ


とやっと気が付いた。


「みつる、女癖悪すぎ。あたしが気づいてないと思った?」


どの子のことを話しているんだろう?


必死で考えているオレを、みすずは心底軽蔑したような


顔で見た。


「それでもね。こうしてここに来てくれる間は


信じてみようかな、って思ってた。でも、もう疲れた。」


みすずの柔らかそうなな髪の毛が、秋の風に揺れている。


長袖のシャツに短いスカート。


オレの一番好きな、制服のパターンだ。


短いスカートからはみ出た健康的な脚に、もう触れない。


そう思うと、とても寂しくなった。


「それだったら、ごめん。もうほかの女に手、出さない。

ちゃんとみすずだけと付き合う。ほんと、ごめん。」


ああ、なんでオレの声はこんなに軽く響くのだろう。


真剣味に欠ける、とオレは内心嘆く。


「もう、いいよ。もう遅い。それに最近、みつる変じゃん。

ちゃんと進路のこととか、考えたほうがいいよ。マジで。」


将来性がない。


そんな風に言われた気がした。


みすずは、ちゃんと先のことを見ていた。


高校を卒業した後でも、付き合っていくに足りる男なのか


そうじゃない、と判断されたオレは見捨てられたんだ。


ぐうの音も出ない。


「じゃ、バスの時間間に合わなくなるから。」


それだけ言うと、みすずは振り返りもしないで、


オレの前から去って行った。