みすずだった。


最近、放課後呼び出されることが少なくなったので、


珍しいな、オレは単純にそう思った。


大分涼しくなってきたので、体育館の裏でヤるのも


あとちょっとだな、とオレは思う。


冬になったら、どこか場所を考えなくてはいけない。


みすずのことを考えると、彼女の甘い匂いがふっと蘇る


みたいだ。


人工的な甘い匂いも悪くない。


そう思っていたのに、みすずはひどく冷めた目でオレを見た。


「ごめんね、急に。」


「や、別に。珍しーなーとは思ったけどさ。」


へら、と笑ってみすずの隣に座ると、それと同時にみすずは


立ち上がった。


「今日も塾あるし、そんな時間あるわけじゃないから手短に言うけど。」


す、とみすずの視線が横に逃げる。


「もう、別れたい。」


プラスチックみたいな声でみすずが言った。


「は?何、急に?本気で言ってんの?」


オレは心臓がバクバク言っていたくせに、平静を装って聞く。