小首をかしげるとさらさらヘアがこぼれる。

横から少し睨むようにして、女の子がオレを見る。



「二人とも超キケンそうだもんねー。」

「ねー。」



盛り上がる女の子たちにオレは


「食っちゃうよー。」


とおどけて見せた。


「出た。みつるの鬼畜発言!」


秀真が笑いながら言うので、オレはさらに調子に乗る。

女の子の細い肩にがしっと腕を回して、乱暴に引き寄せる。


「もー、やめてよー。」

と言いながらも、無理にほどこうとする気配はない。



二番目まであけられたポロシャツの首元が白い。

ついつい目がいっちゃう。


いーにおい。


オレはその子のさらさらヘアに鼻をうずめる。



「もぉ、みつる彼女いるんでしょ?怒られちゃうよ。」

「いーの、いーの。あいつ、今日カテキョだって。

先帰っちゃったの。オレさみしーのよ。」



ふざけながら言って、腕に力をこめると

彼女との距離があっさり縮まる。



口もとが、キスしそうに近くなる。



唇がてかてかだ。


グロスってやつ?


オレ、これべたべたするから嫌いだ。


甘い匂いが、かすかに鼻をかすめる。



どうして女って、甘い匂いを身につけたがるのだろう?


オレは不思議に思う。



体から甘い匂いがするのって、超不自然じゃない?



キスしたら、べったりするんだろうな。



オレはちょっと萎える。





…ところで、このコの名前、なんだっけ?