悩ましい表情のあけみちゃんを前にし


オレはちょっと申し訳ないきもちになる。


「ごめん、でもホントなんも思いつかねぇ。」


本音なのに軽く聞こえてしまったのか、あけみちゃんは


細い目を吊り上げた。


「だからって、立ち止まっててもどうしょうもないでしょうが!

やりたいことなんて、大学入ってから見つけたっていいでしょう。

私だって、教師になろうと思ったのは、大学入ってからなんだから。

このまま立ち止まってたら、何かが見えてくるわけでもないでしょう?

まったくマイペースも大概にしなさいよ!」


あけみちゃんは抑揚をあまりつけずに、早口にまくしたてる。


それでもいつもより感情的に聞こえるのは、やっぱりちょっと?


すごく?怒っているんだろう。


オレは肩をすくめた。


「とにかく!あんたの偏差値と、行きたい学部と大学を


照らし合わせて、いくつか候補をだしなさい。


家から通うのか、遠くの大学に行くのかとか、そういうこと


も考慮しなくちゃなんないでしょう?今週中に


3つくらいに絞って、提出!!わかったね!!」


最後はたたきつけるように言われてしまった。


オレの偏差値と照らし合わせてって…


行けるような大学があるのだろうか。


もし行けたとして、そこに行って何があるのか?


そんな風に適当に選んだ場所に行って、オレに何が


残るんだろう。