「あんたねぇ、夏休み何してたの?どうするつもり?

大体、進路どうするの?うちのクラスで決めてないの、

もうあんた一人くらいだよ?調査票はもう出さなくていいから

今、ここでどうするのか言いなさい。」


あけみちゃんは本当に早口だ。


あんまり抑揚をつけない、あけみちゃんの言葉が


オレの右の耳から入ってきて左に抜けていく。



「今、ここでどうするのか言いなさい。」



そこだけ、やっとオレの頭の中にひっかかる。


「え、今?」


「そ、今。」



相変わらず、あけみちゃんは笑わない。


それだけ状況がせっぱつまってきてるんだろう。


「オレ、まだ何にも決めてない。何がしたいかもわかんねぇし、

どうしたらいいのかもわかんねー。だから勉強も全っ然身につかないんだよね。」



本音だった。


そして、思い出した。


そうだ、オレこれからどうしたらいいのか


さっぱりわからないんだった。



はーーーーっと大きなため息を、あけみちゃんがついた。


「あんたねぇ。」



あんたねぇ、あんたねぇと、あけみちゃんは三回繰り返した。


「この時期になっていう言葉じゃないでしょうが。


ほんとにあんたって子は…。」


あけみちゃんは、頭が痛いとでもいう風に


片方の手のひらを額に当てた。