真珠が沈んだ海を見て、まだ瞳を閉じて祈る。

月島先輩が綾さんを無事に助け出せますように。

そして、本来あるべき筈の二人の幸せを願う。

強く強く願い、瞳を開け、私の手に残ったガラスの小瓶も海へと投げた。

一瞬だけ泡に包まれたかのように見えたガラスの小瓶。

波にさらわれて何処かへ消えていった。

と、ポツ、ポツ、ポツ―…

肌に当たる小さな水滴が。


「雨―…」


雨が降って来た。

さっきまで腫れていたのに、突然の雨。

その雨粒が瞼にあたり、涙の様に零れる。

ポロリと零れた雨の涙が、私が願いをかけた真珠の様に見えてしまう。


〝人魚の粒”


その名前の通り、童話の人魚姫を思い出す。