「冗談」


「せんぱ……い?」


「お前が無防備すぎるから、ちょっとからかっただけ」


冗談?からかった?

私は仰向けになったまま、よく事態が飲み込めないけど、じわっと涙が瞳に溜まるのを感じた。

ほっとしたのかもしれない。だけど、切ない気持ちがある。

だって、さっき月島先輩の彼女になった事までも冗談とか、からかった、とか、そういう事なのかなって思ってしまう。


「ばーか」


「え……?」


「そんなに不安そうな顔するなよ、彼女になってて言ったのは本気だから」


私の気持ち―…読まれちゃってる。

月島先輩は私に手を差し伸べて、ゆっくりとベッドから起こしてくれた。


「今のは俺が駄目だな。少し焦り過ぎた」


「わ、わたし……こそ……わからなくて―…」


「いいよ。まだ始まったばかりなんだし、俺達」


そう言うと今度は、そっと溜まった涙を拭ってくれて、ぎゅっと優しく抱きしめてくれた。

月島先輩の言葉がじんわりと胸に染みる。

私、本当に月島先輩の彼女になれたんだなって、実感してもいい?

大きな腕の中がとても心地よくて、もう、冗談でも、からかわれていても―…

不思議な力のおかげでも何でもいい。

そう思った。