かなりの早歩きで高級住宅地を後にした私。

やっと見慣れた落ち着く景色が目に入って来る。


でも、よくよく考えると、あの先輩達自らが、私なんかを送ってくれるって言ってくれたのに、それをあんなに断るなんて私も感じが悪かったかなぁ……

って気にしてみたり。

月島先輩も気を悪くしてしまったんじゃないかな、って思ってしまう。

月島先輩の家からの帰り道。

ひとり歩きながら、そんなことをぐるぐると考え込んでしまう。

いーちゃんに今日の事を報告したら、何て言われるかなぁ。

〝せっかくのチャンスを逃すなんて勿体無い!”

って怒られそう。

あーあ。休みが明けて学校で月島先輩と会うのが、ちょっと不安になっちゃう。

また私の悪い癖が出て、どんどんヘコんでしまう気持ち。

何だか、


「ねぇねぇ」


って男のヒトの声で呼ばれてる気がするけど、絶対気のせいだし、


「カーノジョ」


なんて言われてる気もするけど、そんな軽快な感じで呼ばれた事ないし、


「ねーぇってば、待ってよ」


とか聞こえるけど、一体誰に言ってるんだろ……

と、その瞬間、ぐいっと誰かに肩を掴まれた。

いきなりのことに、


「きゃっ……!」


と、思わず声を出して驚いてしまう私。