その時、


「-…わっ」


強い風が吹き抜けていった。砂が舞い上がって、髪や制服についてしまう。

ハタハタと手で叩くと、伸ばしっぱなしの長い髪は絡まってしまってヒドイ状態に。

まぁヒドイって言っても元が元だから―…

そう思った時、こんなにダサい私が先輩達と一緒にステージに立つなんて恥をかかせてしまうって、もっともっと不安になる。

それに明日、月島先輩と待ち合わせになってるけど、こんな私を連れて歩いていたら先輩が笑われちゃう。

もしも魔法が使えるのなら、寝て起きたら絶世の美女とまでは言わないけど、〝ダサい、あのコ”って笑われない位の外見に―…

そう、もしも魔法が。

そっとポケットに手を入れて、取り出したのはガラスの小瓶。