マイクを通して、この唄を歌うなんて初めてのこと。
それ以前の問題で、人前で歌うなんて考えられなかった。
唯一の友達でさえ、カラオケにも誘えない。
そんな私なのに……
どうして?
物凄く、声が出る。
プレッシャーに弱くて、引っ込み思案な私が、こんな状況で歌ってる。
歌いながら、自分でも驚いていた。
「は……」
歌が終わると、そんな間抜な私の声がマイクに響く。
画面はカラオケのヒットチャートに切り替わって、リズミカルな曲が流れだす。
でもこっちは、シーンとした空気になってる。
そんな中、
「すっ……げぇ……」
一番先に沈黙を破ったのが、芹沢先輩だった。
両手で拍手までしてくれてる。
「うん。これならいいんじゃない?」
小栗先輩も納得した表情で頷いてる。月島先輩はというと無表情だけど―…
「だろ?」
と、声は何処か得意げ。

