「おい、響~!」
芹沢先輩の声がして、私も月島先輩を見てしまう。
月島先輩がリモコンで曲の停止ボタンを押したみたいだった。
「何でいきなり消すのー?」
「全然駄目」
冷たい月島先輩の言葉。確かに、1フレーズも歌えなくてオドオドしてるだけだから、そう言われても仕方ないけど……
〝全然駄目”
その言葉で尚更、泣きそう。
意味も分からずに連れて来られて、先輩達が見てる中でいきなり歌え、なんて私にはハードルが高すぎる。
もう、ヤダ。
逃げ出したい。
涙がじわっと溢れてきた時だった。
「陽の選曲ミス。貸せ」
月島先輩が芹沢先輩が持っていたカラオケの機械を取り上げて、パネルをペンでタッチし始める。

