たくさんのことがあった1年。

どれも大切な思い出。

でも、忘れたいことだってある。

─過去─

優しいあなたは私を傷つけないように
返事をしてくれた。

それが余計に苦しかった。

それ以来あなたを目で追うのはやめた。

泣いてしまうから。

変わったことといえばそれくらい。

…あ、もう一つあった。

「里中」

隣に田中くんがいること。

付き合っているわけではない。

ただ隣にいて何気ない話をして、帰るだけ。

でも"好き"とは言わなくなった。

『好きって言わないのね』

「いいんだよ、お前の隣にいられるだけで」

そういう横顔が大人っぽくみえた。

悲しかった。澪華も夏穂も田中くんも
成長しているのに。

私だけ進めない。

「いいんだって、お前は。」

『え?』

「そのままのお前を好きになったんだから」

最近田中くんに隠し事が出来なくなった。