私は"恋"というものを知った。
恋の季節っていつだろう?
夏、かなぁ?
─恋の季節?─
「今年の夏休み、どうするー?」
「私は彼氏と旅行ー」
「私もー」
クラスのみんなは、彼氏、彼氏、彼氏。
『ねー、夏穂』
「ん?」
夏休みが明日から始まる、ということしか頭にない夏穂に私は聞く。
『恋の季節っていつだと思う?私は夏だと思うんだよね』
「姫依ってさロマンチストだよね」
なんでそうなる。
『違うからね』
「いや、そうでしょ」
『違うー!』
「あ、山原先生」
拗ねる私にそんなことを言った。
『え、ウソ!?』
「ウソ♪」
『なっ…!バカっ!もう、知らない!』
本当かと思ったのに…
「ごめんごめん!…き、きい!山原先生だよっ!」
もう騙されないもんね!
『騙されないも…ん』
「なんの話してるんだ?」
ウソじゃなかった…
よかった…会えた…