『姫依………』
待っていてくれた姫依に近づいた。
「あ、おかえ…どうしたのっ!?」
その声で気づく。頬に流れた一筋の涙。
これはなんの涙だろう。
恥ずかしさ?後悔?
でも、なんでもよかった。
「ここじゃ、まずいから…人目がつかないところへ行こう」
私はただ姫依についていく。
「ここでいいかな、と。」
ゆっくり私の歩く速度にあわせてくれた。
『…聞かないの?』
「聞いて欲しくなったら聞くよ?」
私はいつもこの笑顔に励まされていた。
『自分でもわからなかった。いつ告白したかなんて。でも、自然に好きって言葉が出てきて…怖くて先生の顔が見れなかった』
ぽつりぽつりと話し始めた私。
手を握りながら頷いてくれる姫依。
「すごいよ、夏穂は。私だったらきっと怖くて言う前に逃げちゃう。」
『私も逃げた…』
「…私ね、山原先生が好きなの。」
姫依からの突然の告白。
「絶対好きになんない!って思ってたけど好きになってた。」
笑っていたけど姫依の手は震えてる。
『私、先生の返事、受け止めてくる』
「いってらっしゃいー!」

