初恋~君が好きでした~

あれ、私…どしたのだろう…

「お。目、覚めたか」

『…山原先生…?』
そこにいたのはあの言葉を言った本人だった。
あの言葉まだ覚えてるよ。
頭から離れなくて…

「大丈夫か?里中」

『私の名前…どうして…』

「俺にはなんでもわかるんだ」
って子供のような無邪気な笑顔を見せた先生。

私は気づいた。─この人が好きだ、と。

自分の気持ちに気づくと急に恥ずかしくなった。

「まだ具合悪いのか…?遠慮なく先生に言えよ」

"先生"その単語で私は現実に引き戻される。
─好きになっちゃいけないんだ。

『だ、だいじょうぶですよ!』
泣きたくなる気持ちを抑えて無理に笑顔を作る。

「それはよかった。でも今日1日安静にしてろよ?」

『わかりました。もう大丈夫ですから...』
"一人にして"そう願いをこめて先生を見た。

「どこが大丈夫なんだよ。まだ、顔色悪いぞ」
って言って私の頭に手を置いた。

『何…するんですか…』
ドキドキする気持ちを隠しながら先生の手を払いのけた。

「撫でたら喜ぶかなって」
そんなの…喜ぶに決まってるじゃないですか…
なんて言えず。

『なっ…!私は子供じゃありません!』

だなっ、と笑いながら言って先生はようやく出ていった。

『私…こんなにも好きだったんだ…』
先生に手を置かれたところが熱い…

『…好きになるつもりなんてなかったのに。』
一人で呟く。

「なーにがなかったんだ?」

『それはす……先生!?』

「そんな驚くことないだろ」
びっくりした。よかった、途中で気づいて…

『…なんでここにいるんですか?』
さっき出ていったのに…

「バカ。ほっておくわけないだろ?」
先生の方がバカ。貴方のせいでまた倒れそうだよ。

『せっかくの野外活動なのに、倒れるなんて…』
夏穂は大丈夫かな…橘先生と話せてるかな…
顔を真っ赤にしてる夏穂が頭によぎった。
夏穂に会いたい…"好きな人かできた"って言いたい…

「姫依、大丈夫…?」

「倒れたって聞いて…」
澪華と夏穂が心配そうな顔をして私のところへ来た。

『澪華、夏穂っ!!』

私は自分が熱をあるということを忘れて二人に駆け寄った。

「走っちゃダメ…!」
心配性の澪華に言われたけど私は走り続けた。

『ありがとう…でも大丈夫だから!』
私は二人に笑顔を見せた。

「動けるなら大丈夫だな。でも今日1日安静にしておくこと!わかった?」

『はーい!』

元気に返事をする私を見て"返事だけはいいんだから"なんて言って部屋を出ていった。
ありがとう、先生。なんだかんだ言ってずっと一緒にいてくれた。

ますます好きになった。