~side 澪華~
『あの…美沙先輩いますか?』
「美沙ー、2年の子が呼んでる」
その人の声で美沙先輩はこっちに来る。
私を見て顔が変わった。
「何?」
『話があります。』
今の私は昨日の私じゃない。
『私は晃ちゃんが好きです。』
「でも晃はあんたのこと好きじゃない」
言われると思っていたけどやっぱり心が痛い。
『だから…晃ちゃんと別れます。』
「負けを認めるのね。そこは素直で可愛いわよ」
絶対そんな事思ってないくせに…
でも、晃ちゃんのため。溢れ出す感情を全て抑えた。
『晃ちゃんのこと傷つけることはやめてください。』
「っ!あんたは一言多いのよ!」
そう言って先輩は手を振りあげた。
"殴られるっ!"そう思って目をつぶる。
『痛…くない?』
「てて…大丈夫か、澪華」
『こう、ちゃん…』
私の代わりに殴られたのは晃ちゃんだった。
「もうやめろ。橋本」
晃ちゃんは私をしっかりと抱きしめながら美沙先輩を見た。
「っ、どうしてっ?なんでその子なの!?」
「澪華はお前と違ってこんな事しない。今回も身をひこうとしただろ?だから好きなんだ。」
『晃ちゃ、ん?』
「ごめん、気づかなくて…お前がこんな目にあってるなんて…」
そう言った晃ちゃんの顔は悲しそうだった。
『…大丈夫…こうして来てくれた』
「澪華…………」
「勝手にしなさいよ!」
美沙先輩は走っていってしまった。
『あ、先輩!』
追いかけようとしたのを晃ちゃんに止められた。
「行くな…」
『でも……』
「今は離したくないんだ…」
『………………』
私は返事をしなかった。その代わり晃ちゃんに強く抱きついた。
『ごめん、なさっ…』
「澪華は悪くない。気づけなかった俺は彼氏失格だな…」
『そんな、ことない…よ?』
何度もごめん、と謝り続けた晃ちゃん。
来てくれてありがと…嬉しかった。
私はずっと晃ちゃんが好きだからね。

