ねぇ、皆は"恋愛"ってしたことある?

私は残念ながらなくて…。

でもね。"恋愛"は楽しいんだって。

ほんとはどうなんだろうね?

─恋愛─



「おはよっ、姫依」

『澪華、おはよ』

幼なじみで親友 立川澪華に私は挨拶をする。

「あー、早く学校行きたい!!!」
朝から何言ってるんだ、こいつは。
私達は今向かってるだろうが。

「違うっ!晃ちゃんに早く会いたいの!」
……エスパーがいたよ、私の隣に。
これから気をつけよ…。
ちなみに晃ちゃんこと内山晃先輩は澪華の彼氏。

『あ、内山先輩』
指を指した方向を見る澪華を見て笑う私。
もちろん、心の中で。
だってバレたら怒られるし。

「きーい?」

『なーに?』
"売り言葉に買い言葉"。まさに私達の間に流れる空気を表す言葉はこれしかない。
どっちも笑顔だけど目が笑ってないし。

「いないじゃないですか、姫依さん?」

『あれー、いた気がしたのになー』
あ、内山先輩、発見。助けてくれないかなーなんて。

『澪華さん、澪華さん』

「なんですかねー」
拗ねてる。ちょっと可愛い……
……内山先輩には渡したくないなー...

『拗ねてる澪華を見れるのはいいけどさ。呼んでますよ?あなたの愛しの彼氏さん』
私の言葉でさっきとは違う顔をして走っていった。

おい、親友よ。この私を差し置いて内山先輩を選ぶのかい。

『なーんて。さ、私も行こっと。』


「…運命って信じる?」

突然聞こえた声。それは私に対してではない。
でも…

『どーだろ。でも私は信じるよ。じゃあね』
誰だったんだろ、あの人……
この辺りでは見かけない顔だったな…