「あんなに小さかった蒼空がこんなに大きくなったのね。」

慈しむような目で彼女はそういうと小さく微笑み優しく髪を撫でてくる。

「ふふっ、このフワフワな髪は拓真譲りね。目の色は私似かしら?」

「あ、えっと…そう、か?」

「えぇ、母親の私が言うんだから間違いないわ。」

そういって頭を撫でる彼女に照れながらはて?っと疑問が浮かぶ。

「あの、お、お母さんは入院中だって聞いてたんですが…?」

「敬語じゃなくて普通に話してちょうだい。今日の朝に蒼空のことを聞いてね?そのまま病院抜け出してきちゃったわ。」

てへっという効果音が聞こえそうなほどの素晴らしい笑顔に思わず声を失う。

「……いやいやいや!!抜け出したちゃダメでしょ?!」

「あら、だって一刻も速く蒼空に会いたかったんですもの。
医師の話なんて聞いていられないわ。
12年も探していた私たちの大事な宝物なんですからそのぐらいの我侭は許してほしいわよ。」

そういって浮かべた表情にそれ以上何も何も言えなくなる。

「………ずるい。」

そんな優しい顔されたら何も言えなくなるじゃないか。

思わず出た言葉に母は笑い、俺の髪を撫でた。