蒼空Side
目を覚ますともう昼すぎだった。
「寝すぎた。」
小さくつぶやき起き上がると辺りを見回す。
寝る前は見る余裕もなかったが大きな和室のその部屋は掛け軸やら良く分からん壷やら置かれているものがさらりと豪華な気がする。
そういえば東条組だもんな。そりゃ、金あるわ。
大きく伸びをして寝心地のいい布団から起き上がる。
まだ多少ボーッとする頭をゆるゆるとふりさて、これからどうしたものかと首を傾げていると襖の向こうが妙に騒がしい。
何かを言い合っている男女の声に気になって襖に近寄るとスパーン!っといい音をたてて襖が開いた。
開けたのは淡いブラウンの髪と俺と同じダークブルーの瞳をした綺麗な女性。
驚きで固まる俺を見るとその人はその瞳に涙を溜め震える手をそっと俺の頬に当てた。
「そ、ら…蒼空、やっとやっと会えたっ…。」
そんな大事な宝物を扱うみたいにそっと抱きしめなくても壊れねぇけどな。俺。てか、そんなことじゃないのか。
どうでもいいことを考えながら俺を抱きしめている女性を見る。
背中を撫でる手とか頭を撫で方とかなんとなくどこかでやってもらった気がする。
この人が俺の母親なんだな…。
そう思いながら俺はそっと目を閉じた。