父親の目に一瞬で灯った怒りの炎に思わず息を飲む。
「あの抗争に紛れて色々手配していたらしい。
あの女は弓月からお前を奪おうとして抵抗した弓月はそのまま階段から突き落とされた。
弓月は重体、お前はあの女に誘拐されて行方が分からない。
あの時の恐怖は今でも忘れねぇ。
大事なものが一瞬で奪われて気が狂いそうだった。」
そう呟いた父親の手は微かに震えていた。
愛した女性と自分の子供を一瞬で奪われた父。
俺にはこの人の恐怖はわからない。
けど、きっとそれは自分の肉を裂かれるよりも辛いことだったのだろう。
「あの女の居場所を突き止められたのは2日前だった。
情けねーよな、こんなに近くにいたのに。
だけど、お前をみてすぐに俺の子だってわかった。お前のその瞳は弓月によく似てる。」
そういって微笑んだ父は幸せを噛み締めているようだった。
話を終えればもう朝方だ。
母さんのお見舞いは起きた後に行くと約束して俺は布団に潜る。
思っていたより俺の体は疲れているらしく横になればすぐに睡魔が襲ってきた。
その睡魔に抵抗する暇もなく俺は意識を手放した。
蒼空SideEND
