「蒼空、あの女、七瀬芹香のこと話してもいいか?」
父親の声に息を吐き出し頷く。
「………あぁ、話してほしい。」
何で俺が誘拐されたのか。
それを知らないときっと前に進めない。
「わかった。」
父親はそういうと淡々とした口調で話し出した。
「あの女は元は同盟組の娘だった。
俺が弓月にで会う前に一度だけ関係を持った女でな、その時の俺はまだ何も知らないガキで集まってくる女は金か東条の名前が目的な奴等ばっかりだった。
一夜だけでいいからっていう女も腐るほどいてなあの女もその1人だ。
その後、俺は弓月と出会ってはじめて女である弓月を愛した。
弓月のためなら地位も名誉もすべて捨てれる。今でもその気持ちは変わらない。」
優しく穏やかな父の顔に思わず俺の顔もほころんでいく。
まぁ、今でもこんなに良い男なのだから昔はそれこそいろんな女が父さんに迫ったってことは簡単に想像できる。
けど母さんの話をする父さんは本当に幸せそうでなんだかこっちまで胸が温かくなった。
「いろいろあったが、弓月と結婚して親父から組をつぎ、そしてお前を授かった。」
穏やかな瞳で俺を見る父さんにちょっと照れくさくて顔を背ける。
「だが、お前が2歳になったとき組同士での大きな抗争があってな。
弓月とお前は安全を考えて別の場所に移ることになったんだ。
抗争が激しくなって弓月たちの警護にも隙ができ始めたときあの女が現れた。」
