蒼空Side




秋の夜はどこか肌寒かった。



「次その面見せたら、本気で潰すぞ。」

繁華街から一つ抜けた路地裏に倒れているリーダー格の男の腹をもう一度蹴りつけて俺はゆっくりと歩き出す。

俺の名前は、七瀬蒼空(ナナセソラ)

俺っと言っているが性別は女。

ごく普通とは到底言い難い中学三年生である。

ネオンの輝く繁華街はギラギラと輝いており道には通り過ぎるサラリーマンとそれを引っ掛ける派手な女たちの声が響いていた。

その人たちに紛れるように黒のフードを深くかぶりポケットの中に手を突っ込んだ。

「めんどくさっ…。」

ぽつり…つぶやいたその言葉。

無意識のそれは誰にも聞かれずに騒がしい雑音に紛れていった。