「森田先生ならいないよ?」
「いや、先生に用じゃなくて…」
中河原朝陽は私のことを覚えていないみたいだった。
私は必死に言いたいことを探した。
咄嗟に出たのが、
「中河原朝陽!」
「あれ?名前知ってんの?」
「前会ったじゃーん?」
一言目から素が出てしまっていたけど、取り直す。
上目遣いで声をワントーン上げる。
「あーそういや会った気がすんな」
「覚えててくれたの?嬉し…」
「いや、覚えてない」
私の頬は引きつった。
こいつ、何考えてるかわかんないな…。
めげずに、半分本気の涙目でさらに見詰める。
「そっか…私はずっと覚えてたんだよ?」
「へーありがとな。」
そう言って3組の教室に入っていった。

