相手は分からないなんてタカが言う辺り、大学のヤツ、つまり要やてっチャンではない。



俺の頭に浮かんだのは…華乃のバイト先の店長。



幸せになっただろうか。



いや、幸せになって欲しい。




俺には何も出来ないから…。





俺は毎日当たり障りのない日々を送ってた。


華乃のいない毎日に全然慣れなくて、だからと言って華乃の代わりなんていらなかった。


ただバイトをして、飲みに行ってを繰り返す。たまにサークルの飲み会で華乃を見かけては、胸を締め付けられて視線を外す。



華乃は店長の前では、あの可愛い本当の笑顔を見せてるんだろうか。




俺は自分が犯した華乃への罪の重さを日々感じながら、被害者ぶってる自分に腹が立って死にもの狂いでバイトに力を入れた。





気が付けば、周りはクリスマスカラーで彩られていた。






だいたいいつも鳴らない携帯がめずらしく鳴った。と言ってもバイブだけど。





ディスプレイには見覚えのある、でも未登録の番号。




ピッ―


「はい?」



『もしもし…大樹?』





相手は聞き覚えのある、懐かしい声を少し控え目に出してきた。