「決めたんだ。俺は見守るって…。俺が奪った華乃の心からの笑顔を、俺がもう一度戻したいんだ…。今更華乃を振り回したくない。」



俺はすくっと立ち上がった。そして彩に言った。


「華乃の特別が俺ぢゃなくなっても、俺の特別は華乃だけだから…。」




彩は納得がいかない様子で俺を見上げていた。



それを振り切る様に、俺は日陰を飛び出す。


「たか!ビーチフラックやろうぜ!」



その後は、とにかくはしゃいだんだ。



華乃が俺ぢゃない他の誰かと居てでも、笑ってくれるなら、俺は何でもする。





浜辺ではしゃぐ華乃を見ると、笑ってるけど…なぜか悲しい気持ちになった。


本当の華乃の笑顔は人を幸せな気持ちにするから……。






――――――――――

夜になって、ずいぶんみんなが飲み潰れた後、一人で浜辺に来た。






「大樹君?」





「要…。」



後ろには、酔いが冷めたのか落ち着いた要の姿が。




しばらくの沈黙。






俺は先に口を開いた。