確かあの日の朝は、元カノの家から帰る前にシャワーを借りた。少し躊躇したけど、汗でベタベタしてたから…




その時に華乃の番号を見たんだ。




元カノは、俺が一晩中自分を抱いたなんて華乃に言ったらしい。やさしかった―嬉しかった―大樹を返して―そう言って電話を切った。



シャワーを借りたのは事実。でもソレ以外は全くデタラメだ。



華乃がその話を信じたって事…だよな。





俺は黙り込んだ。





沈黙を破ったのはもちろん彩。

「嘘なんだ。華乃、大樹さんと別れた後毎日泣いてたけど…その電話からなんか糸が切れたみたいに落ち着いたんです。なんか…華乃ぢゃなくなったみたいに。」



華乃の素直で可愛い笑顔を奪ったのは俺だ。



「俺が元カノを抱いたかどうか事実が問題ぢゃない…華乃が元カノの言葉を鵜呑みにして、俺が信じられてなかった事が問題だよな…。」




「誤解解かないんですか…?」


彩が心配そうに俺を見る。



「いいんだ…。」







「え…。」