無意識に、香奈って言った? 「香奈って…誰…?あたしはっ…目の前にいるのはあたしだよ!!!」 さくらの顔が歪んで、目に涙を溜めながら俺の部屋を出て行った。 それはまるでスローモーションのように見えて、また大切な人を失うんじゃないかって、そんな思いにかられた。 「さくらっ!!!!」 家を出て、右手にさくらが走って行くのが目に入った。 「さくら!!」 全速力で追いかけて、さくらの手を掴む。