「はぁ」
どうしたらいいんだよ…
気持ちに気づいてしまったら、俺は香奈を裏切ることになる。
でも…もう裏切ってるのかもしれない。
香奈は、どんな風に笑った?
どんな声で俺の名前を呼んだ?
どんな笑顔で俺だけに微笑みかけた…?
時が経つにつれて、俺は香奈の顔が思い出せなくなっていた。
そりゃあ写真を見れば顔がわかるけど、パッてすぐに思い浮かばないんだ。
声だって…
俺は香奈以外好きにならないって決めたのに、何してんだよ…
「くそっ!!」
ガンッと鈍い音がする。
手がヒリヒリするけど、それより心の方が痛んだ。

