呆然と立ち尽くす俺に、父さんは行ってくる、と言って母さんと出て行った。
「誰の…葬式だよ…」
香奈の葬式。
頭ではわかってても、そうじゃないと全否定する俺がいる。
部屋に戻ろうとしたら、インターホンが鳴った。
ゆっくりと開けると、七瀬が父さんたちと同じ黒い服を着て立っていた。
「…香奈の葬式…行かないのか?」
「……」
「香奈の顔、見てやれよ。香奈は、最期をお前に見送ってもらいたいんじゃねーの…?」
「……」
黙っていると、七瀬はそれが俺の答えだと受け取り、ゆっくりと玄関を出て行った。
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