「七瀬、いまのうちっ」
ぐいっと引っ張られて俺たちは荷物を持って外に出た。
「あっ、くるみっ!おいっ!!」
「シネ」
俺たちを呼び止める声に立ち止まり、くるみは一言だけ言ってまた歩き出す。
こ、こええええ…
キッと咲夜さんを睨む顔はまさに般若同然。
くるみのあんな顔見たことねぇ。
しばらくして、くるみは俺の手を弾きながら近くの公園に入った。
ベンチに腰掛けると、はぁ、と盛大な溜息が聞こえた。
「なんかほんと…あのバカ兄貴がごめん…」
「いやっ…まぁ、うん」
正直お世辞でも驚いてないとか言えず、曖昧な答えをする。
「あれで26だよ?ほんと、いつになったらシスコンやめるんだか」
26?!
「歳離れてんだな。つーか男の俺でもかなりイケメンだと思ったわ。」
「顔だけだよ、あんなの。」
そう言って、くるみは力なく笑う。

