どちらからともなくキスをする。

唇を離せばまたくっついて、そんな行為を何回も繰り返した。




“幸せになってね”




ふと、声が聞こえた。

バッと顔をあげて辺りを見回した。

「奏太?」


そんな俺に気付いたさくらが俺の名前を呼ぶ。


「今…香奈の声が聞こえた気がしたんだ。」

「え?」

「幸せになってねって…たしかに…そう聞こえた…」

「…じゃあ、幸せになろう。あたしと奏太で。」


そう言って、さくらは俺の背中に腕を回す。

俺もそれに応えて、さくらの頭に顎を乗せた。