「十、わたし……」
暗闇の中なら、少しは自分に正直になれるかもしれない。
もう、これ以上胸がいっぱいになったら、呼吸もできくなりそうだから。
今まで押込めてきた自分に、素直になろう。
ちゃんと、話そう。
そう思った時だった。
「もしかして涼?それと十くんっ!!」
毎日のように聞きなれたこの声の主を、間違うはずはない。
……多美、どうしてこんなところに?
雨雲が風に運ばれてくる。
「やだぁ涼!ひどいじゃない!十くんが帰ってくるって分かった時は、教えてって言ったのに」
ふくれる多美。
言い訳をする言葉も出ない。
ううん、何も、浮かばない。
「いや、羽田さんも知らなかったんだ。夜道を散歩してたら偶然会っちゃって。それで、久しぶりだったから、つい話し込んじゃったんだよね、羽田さん」
十のとっさの言葉に、とりあえずうなずく。
でも、本当の心配はそっちじゃなかった。
「ふ~ん、そうなんだ。あ、十くん。私隣のクラスだった河野多美だけど、覚えてる?それと、こっちはうちの和哉。私の兄で、涼の彼氏でもあります!」

