ファンレター




妙なドキドキ感が背中に一本の筋をひく。



「ありがとう」



十がドリンクを一口飲んだ。

するとコップの傾きがふいに止まって、次の瞬間私と目が合った。



なっ……なによ。



多分十は、この飲み物があれであることに気づいたんだろう。

やっぱり、コップにしたくらいじゃ意味がなかったか。



喉の奥まで鼓動が込み上げてくる。

十は何も言わなかったけど、どこか満足げな顔が全てをもの語ってた。



なぜか敗北感が私を襲う。

くやしい…



「おかわり差し上げましょうか!」



変な逆切れ状態で、私はその場をやり過ごした。



梅雨のはじまりを告げる風。

十の両親も我が家に訪れた今日は、久しぶりのにぎやかな夜になった。