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今週は、やたらと多美が私の家に来たがった。

十が帰ってくることを知ってるはずはないんだけど、多分本能的な何かで感じ取ってるんだろう。

そういう直感、多美は鋭いから。



「本当にごめん!うちの親、勉強しろってうるさいから。友達なんて連れて帰ったら何を言われるか……」



どうせ信じてもらえない嘘を、必死でつく。



「ふーん…、まあいいけど。十くんが帰って来るって聞いた時は、絶対教えてよね」


「う、うん、もちろん……多分。わかってるよ」





そして放課後になると、多美はやたらと周りを気にして。

こっそりついてくるんじゃないかと思うと、まっすぐ家に帰ることもできなさそうだった。

この日、私たちは駅まで一緒に帰ったけど、なかなか多美はバスに乗ろうとしなかった。



「多美、私は駅前の本屋に寄るけど……どうする?」



いちかばちかの賭け。



「本屋かぁ。今月の十くんが載ってる雑誌は買っちゃったしな……。じゃあ私は先に帰るよ」


「そっか、残念」



かなりホッとした。



バス停に並ぶ多美を横目に本屋へ入ったけど、何か胸騒ぎがして落ち着かない。

多美はちゃんと、バスに乗って帰ってくれるのかな。



十がいつ帰って来るかわからない今週は、とにかく毎日がヒヤヒヤだ。