駅からの帰り道。
十の家の前を通ると、久しぶりに見る車があることに気がついた。
あれは、十の父親の車だ。
東京から帰ってきてるのだろうか。
「ただいま」
キッチンに入ると、母がうれしそうにカウンターから身を乗り出してきた。
「聞いてよ涼!来週ね、十ちゃんがこっちに帰ってくるらしいのよ。お忍びなんだから、お友達には教えちゃだめよ。そうそう、カメラの用意もしておかなくちゃ」
それで十の父親も、予定を合わせてこっちに帰ってきてたのか。
「ふーん…、会うの半年ぶりだっけ」
落ち着いてる姿を見せる自分に、少し無理を感じた。

