「もともと十関連の物は、ここが彼の地元だからそれなりの数を置いてただけだよ。彼はアイドル路線じゃないからさ。それに、今後は俳優の方とかそっちの方にいくと思うから、こういうコンサート向けの物はほとんどなくなってきてるんだよね」
うちわを振りながら、ショップのお兄さんが詳しく説明してくれた。
やっぱりこういう店にいる人だと、情報が早いのかな。
十のこと、他にもいろいろ聞きたかったけど…
そういうわけにもいかず……
「和哉くん、私明日テストあるし、早く帰らないと」
和哉に見張られてるようなこの時間を、私は早めに切り上げることにした。
やっぱり、なんとなく居づらい。
学校帰りの学生が溢れる駅のホーム。
「ほんとにごめんね、ゆっくりできなくて」
気まずそうな和哉の顔に申し訳なく頭を下げて、私は逃げるように電車に乗った。
本当に、ゆっくりできないことを謝ったのか。
それとも、他に理由があったのか。
自分でも、よくわからない。

