ファンレター




「ここ、ちょっとつき合ってもらっていい?」



和哉がビルの前で立ち止まる。



「ここ……アイドルショップがある所でしょ。どうして?」


「多美にいろいろ買い物頼まれてさ。さっきも本屋で十くんの載ってる雑誌を買ったんだ」



そう言われて、変にドキドキした。

なんとなく、試されてるような気がしたから。

私と十の関係、それを知りたいのは、多美だけじゃなく和哉も同じはず。

そもそも多美が誰かに十に関した買い物を頼むなんて、あるはずがないんだ。





「……わかったよ」



私の中でもけじめをつけたいと思ってたこと。

私の彼氏は和哉で、十の事はファンとして応援する。

そう決めたんだから。



不思議と感じる胸の苦しさも、いつまでも抱えてるわけにはいかない。








「あれ…?十くんの物って少ないんだな」



店内にあるグッズの数々を見ながら和哉が言う。

私も店内を見渡したけど…


確かに……

ううん、前より減ったんだ。

多美と来た時は、もう少し種類があったような気がする。


十の物といえば、今は数枚写真があるくらいだろうか。