☆
その日の帰りだった。
柿坂君は書類作成のために残業になってしまったのだが、私は閉店と同時に業務終了。
でも、あんなことがあったので、気を使った柿坂君が、駐車場まで私を送ってくれると言ってくれた。
照れくさい反面、なんかもう、嬉しいというか・・・
私の腕には、ぎゅうってしたときの柿坂君の体の感触がまだ残っていて・・・
いつも以上にどきどきしてしまう・・・
夜風の中、駐車場に向う歩道のを歩きながら、私は、傍らを歩く柿坂君をちらっと横目で見る。
「ご、ごめんね・・・なんか、書類とか作らないといけないのに」
「え？大丈夫っすよ・・・ていうか」
柿坂君は、可笑しそうに笑って、うつむき加減の私をちらっと見る。
なんだか、その表情にいやな予感を覚えて、私は眉間にしわを寄せながら聞き返したのだった。
「っていうか・・・なんでしょうか？」
「っていうか・・・長谷川さんがデレると案外可愛いっすね！！」
「ぶっ！！」
私は、その場で倒れそうになりながら歩く体制を死守しつつ、顔を真っ赤にしながらもじろっと柿坂君の綺麗な顔を睨んだ。
「なによそれ！！あれはね！あれはね！なんていうかね！！
びっくりしたっていうかね！うんとね！！」
そんな私の言葉を遮るように、あははと笑いながら柿坂君は言うのだ。
「わかってますって！びっくりしたんすよね？
わかってますわかってます！」
「きーーーっ！！」
私は子供のように唇を尖らせて、ますます柿坂君の顔を睨むも、一切迫力がないのか、柿坂君はにこにこしながらすっとその大きな手を伸ばしてきたのだった。
そして、またしても、私の頭を、猫でも撫でるようにﾅﾃﾞﾅﾃﾞする。
「ちょ、ちょっと！わ、私は子供じゃなーい！
どしてﾅﾃﾞﾅﾃﾞ！？」
「えー？なんか・・・ﾅﾃﾞﾅﾃﾞしたいから？」
「何それ！！！馬鹿にしてる！！？」
「えーっ！してないよ～
なんか、ﾅﾃﾞﾅﾃﾞして欲しいのかなって？」
柿坂君は、私の真っ赤になった怒り顔なんか気にもしてない様子で、からかうように笑っている。
「お、思ってません！全然思ってませんから！」
「うーん・・・じゃあ、そういうことにしとくよ～」
ますます可笑しそうに笑う柿坂君に、私は、顔を赤くしたまま何も言い返せない。
くっそぉぉ！
私の大人の女としてのプライドがぁぁぁ！！
なんて言っても・・・
あんな泣き顔見られたんじゃ、そんなプライドも何もあったもんじゃないよね・・・！
悔しい！
だけど・・・
あんな風に助けに来てくれて、あんな風にぎゅうってされたら、いくらおねーさんでも、そりゃ、ちょっとぐらい、ぐらってしちゃうかも・・・だよね？
変に意識してるってことはないけど、なんか、この子カッコイイなっていうか、可愛いなっていうか・・・
やっぱり男なんだなっていうか・・・
そんなことを思って、モジモジした私。
その時、後ろのほうから、モール棟にあるショップの店員さんらしい女の子が二人、楽しそうにおしゃべりしながら、私と柿坂君を追い抜いていった。
彼女たちはきっと、駅の方へと向うのだろう。
ミニスカートに可愛いトップス後姿が、なんかほんと若いなって思われる二人の女の子。
それは突然だった、その二人のうちの一人が、何かに気づいたようにハッと私たちのほうを振り返ったのである。
「あ、れ・・・？」
柿坂君が、その女の子の顔を見て、ふと怪訝そうな顔をする。
振り返った女の子の方は、驚いたようにつけまをした目をぱちぱちさせて、いきなり、花が咲くように笑ったのだった。
「かいりだ・・・・！かいりだよね！！！」
そんなことを叫んだと思うと、その女の子は、馬鹿みたいに無邪気な笑顔のまま、思い切り柿坂君に抱きついてきたのだ！！
その日の帰りだった。
柿坂君は書類作成のために残業になってしまったのだが、私は閉店と同時に業務終了。
でも、あんなことがあったので、気を使った柿坂君が、駐車場まで私を送ってくれると言ってくれた。
照れくさい反面、なんかもう、嬉しいというか・・・
私の腕には、ぎゅうってしたときの柿坂君の体の感触がまだ残っていて・・・
いつも以上にどきどきしてしまう・・・
夜風の中、駐車場に向う歩道のを歩きながら、私は、傍らを歩く柿坂君をちらっと横目で見る。
「ご、ごめんね・・・なんか、書類とか作らないといけないのに」
「え？大丈夫っすよ・・・ていうか」
柿坂君は、可笑しそうに笑って、うつむき加減の私をちらっと見る。
なんだか、その表情にいやな予感を覚えて、私は眉間にしわを寄せながら聞き返したのだった。
「っていうか・・・なんでしょうか？」
「っていうか・・・長谷川さんがデレると案外可愛いっすね！！」
「ぶっ！！」
私は、その場で倒れそうになりながら歩く体制を死守しつつ、顔を真っ赤にしながらもじろっと柿坂君の綺麗な顔を睨んだ。
「なによそれ！！あれはね！あれはね！なんていうかね！！
びっくりしたっていうかね！うんとね！！」
そんな私の言葉を遮るように、あははと笑いながら柿坂君は言うのだ。
「わかってますって！びっくりしたんすよね？
わかってますわかってます！」
「きーーーっ！！」
私は子供のように唇を尖らせて、ますます柿坂君の顔を睨むも、一切迫力がないのか、柿坂君はにこにこしながらすっとその大きな手を伸ばしてきたのだった。
そして、またしても、私の頭を、猫でも撫でるようにﾅﾃﾞﾅﾃﾞする。
「ちょ、ちょっと！わ、私は子供じゃなーい！
どしてﾅﾃﾞﾅﾃﾞ！？」
「えー？なんか・・・ﾅﾃﾞﾅﾃﾞしたいから？」
「何それ！！！馬鹿にしてる！！？」
「えーっ！してないよ～
なんか、ﾅﾃﾞﾅﾃﾞして欲しいのかなって？」
柿坂君は、私の真っ赤になった怒り顔なんか気にもしてない様子で、からかうように笑っている。
「お、思ってません！全然思ってませんから！」
「うーん・・・じゃあ、そういうことにしとくよ～」
ますます可笑しそうに笑う柿坂君に、私は、顔を赤くしたまま何も言い返せない。
くっそぉぉ！
私の大人の女としてのプライドがぁぁぁ！！
なんて言っても・・・
あんな泣き顔見られたんじゃ、そんなプライドも何もあったもんじゃないよね・・・！
悔しい！
だけど・・・
あんな風に助けに来てくれて、あんな風にぎゅうってされたら、いくらおねーさんでも、そりゃ、ちょっとぐらい、ぐらってしちゃうかも・・・だよね？
変に意識してるってことはないけど、なんか、この子カッコイイなっていうか、可愛いなっていうか・・・
やっぱり男なんだなっていうか・・・
そんなことを思って、モジモジした私。
その時、後ろのほうから、モール棟にあるショップの店員さんらしい女の子が二人、楽しそうにおしゃべりしながら、私と柿坂君を追い抜いていった。
彼女たちはきっと、駅の方へと向うのだろう。
ミニスカートに可愛いトップス後姿が、なんかほんと若いなって思われる二人の女の子。
それは突然だった、その二人のうちの一人が、何かに気づいたようにハッと私たちのほうを振り返ったのである。
「あ、れ・・・？」
柿坂君が、その女の子の顔を見て、ふと怪訝そうな顔をする。
振り返った女の子の方は、驚いたようにつけまをした目をぱちぱちさせて、いきなり、花が咲くように笑ったのだった。
「かいりだ・・・・！かいりだよね！！！」
そんなことを叫んだと思うと、その女の子は、馬鹿みたいに無邪気な笑顔のまま、思い切り柿坂君に抱きついてきたのだ！！
