「だから俺と勝負をしろ」



勝負?



土方は刀を鞘に戻し、壁に掛かっている木刀を二本取り、そのうちの一本を俺に投げた。



「俺は道場で真剣を使って試合をしようとは思わねぇ。


神崎伊織。



この木刀を使って俺と試合だ。

テメェが勝ったらここから出て行ってもいいが、俺が勝った場合はここに残り、俺らの指示を聞いてもらうからな。

異論はねぇな」



フッ、試合ねぇ。


まあいいか。
せっかくだからその条件を呑んでやろう。



「ああ、異論はないな。


じゃあ…始めるか」



久し振りだな、木刀を使うのなんて。

あの日以来だな。



俺は木刀を構える。

土方も木刀を両手で持ち構える。



「じゃあ……行くぞ…!」



「フッ、来い」



土方は床を蹴り、こっちに走って向かってきた。