変わりゆく華たち 第一幕 散ル華





「神崎伊織〈かんざきいおり〉」



「伊織くんと言うのか…?うむ、いい名前だな!」



ニッコリと微笑みながら言う近藤さん。


その雰囲気は優しい父親そのものだ。



俺の父様もこんなふうに笑っていたのか?



「神崎、お前何処のもんだ。
昨日のアレを見る限りお前の強さは異常だ。
それに今朝の行動だってそうだ。なぜ逃げ出そうとした。


それは倒幕派に付いているからか?」



…こいつは馬鹿なのか?


昨日のアレを見たなら分かるはずだけどな。


というより、昨日なのか?意識を飛ばしてたから日付が分からなくなってきたな。



「ブッ!土方さん馬鹿なんですか?
あっ間違えました。馬鹿ですよね。昨日のアレをみたのにそれ言っちゃうんですか?
昨日長州の人間を滅多斬りにしたのはこの子なんですよ」




所々笑いを耐えながら言う沖田。



そして最後に小声で


「あ、土方さんには暗すぎて見えてませんでしたよね」


と言葉を添えていた。



その小声が聞こえたらしく、「総司」と肩を震わせながら怒りに耐えていた。



「俺は倒幕、佐幕も興味はない」



「あ?」



お前ら人間が何処でどんなふうに争うか、俺には関係ない。

ただ、関係のない者を巻き込まなければいい。


あんな事さえなければ、今ごろは……。



「どういう意味だ」



「どう意味も言葉通りだ」