変わりゆく華たち 第一幕 散ル華





とりあえず、ひと通りの名乗りあいは終わったな。


流石に大変だな。これだけ聞いていると。


とは言ってもどうせ覚える必要もないしな。
覚えたとしてもきっと数日ほどで忘れるだろう。


いや、忘れさせる。絶対に。



さて、あと名乗りを上げていないのは−−−



「ほら、トシ。あとはお前だけだ」



近藤さんの隣で眉間にシワを寄せながら考える仕草和をしている男。



も、そうだが、あと一人いや二人居るだろう。
一人は天井裏、もう一人は廊下で。


それぞれ違う場所で盗み聞きとは趣味の悪い奴らだ。


気付かれてない。そう思っているのが凄いな。



「チッ。俺は土方歳三。ここの副長だ。
…おら、俺も名乗ったぞ。さっさとテメェも名乗れ」



…相変わらず口も悪いし態度もでかいな。


少しくらい藤堂やお前と違い礼儀正しい方の副長を見習ったらどうだ。




「…ソラ」







「おお、ソラさんと言うの―――」


「んなわけ無いだろ、近藤さん。
おい、つまんねぇ嘘をつくんじゃねぇ。だいたいそんな片言な言い方で騙せると思うなよ。テメェの首を落としてやろうか」



落とせるものなら落としてみろ。落とされる前にあんたの首をふっ飛ばしてやる。


というより、お前の局長はいとも簡単に騙されているだろう。

何をかっこつけてるんだ。