「すまなかったな、私の名は近藤勇〈こんどういさみ〉。壬生浪士組の局長をしている」
俺のちょうど目の前に座っている男が局長、つまり先程の男が言っていた人間か。
「こ、近藤さん!?何名乗ってるんだよ!こいつが間者だったらどうするんだよ」
「ん?まあ、その時はその時だな。
なんといっても彼の言うことには一理あるからな」
ハッハッハと笑いながら言う。
この男が局長で大丈夫なのか?
見た目とは全くと言っていいほど性格が反対だ。
「確かに彼の言うとおり一理ありますね。
私は山南敬助〈さんなんけいすけ〉です。ここの副長をしています」
本を片手に挨拶をしたのは局長の隣に座っていた男。
ニッコリと優しそうな顔で笑うが何を考えているかは全くわからない。
下手に詮索されればお終いだな。
「次は僕でいいよね?
知っていると思うけど、僕は沖田総司〈おきたそうじ〉。一番組組長をしているよ」
山南さん同様にニッコリと微笑みながらの挨拶をしたこの男。
忘れる訳がない。
困っていた人間を助けず、ただ遠くから見ているだけの最低な奴。
人としての中身を絶対に医者に治してもらったほうがいい。
「…俺は藤堂平助〈とうどうへいすけ〉です。八番組組長を務めています」
この部屋まで案内をしてくれた男。
藤堂平助という名なのか。
しかも、組長も務めていて…。
見た目で判断はしてはいけないんだな。
普通に見たら絶対に組長を務めている奴には見えないしな。
それにしても、両隣に背の高い男
体格がいい男がいるせいなのか、背が小さく見える。
