変わりゆく華たち 第一幕 散ル華





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とまあ、そんな事を考えている間に、此処まで連れて来られこんな事態になった。



「さっきから黙(ダン)りだな、テメェは口を利くことも出来ないのか?」



そんな挑発な俺が素直に話すとでも思っているのか?


少なくとも俺はそんなものに乗るつもりは無い。


ああ、けどあの弱い奴らは素直に乗ってくれたな。


「チッ。おい名前ぐらいは言えるだろ。お前の名は何だ」



「……」



静かな沈黙が続く。


俺だってあんたらに
名乗ろうと思えば名乗ることはできる。


だが、一体どこに『俺の名前は神崎伊織です』と自分の名を名乗るやつがいるんだ。



名というのは短い呪(シュ)。
その名を呼ぶだけで相手を縛ることだってできる。


よく知らない相手に簡単に名を教えて縛られるくらいなら、最初から教えないことにすべきだ。



「おい、さっさと答えたらどうだ。こっちだっていつまでも待ってられるほど、気は長くねぇんだよ」



「名を聞くときは自分から名乗る。これは人として常識なことであろう。あんたはそんなことができないのか?」



フッと鼻で嘲笑ってやる。


案の定ヤツは顔を真っ赤にして怒鳴りだした。



「テメェこの基に及んでなおふざけて−−−」



「すまなかった――――」



ヤツの声を被せるように、一言謝罪の声が耳に入った。