綺麗だ。


一つひとつが輝いて見える。

白玉なんてプルプルしてる。


一体どんなふうに作ったらこんなふうになるのか。



「おお!
色男ちゃん、また来てくれたのか!」



そんな事を思っていると、この店の店主が来た。


つまり、女将さんの夫。


この人は何故か俺のことを、“色男ちゃん”と呼んでいる。


けして色男ちゃんという名でもないし、その呼び方を許可した訳もない。



そもそも
そう呼ばれ始めたのは三日前の事だ。



――――――――――



「春とはいえまだ寒いな」



京の町に来てまだ一日も経っていないが寒すぎる。


これからと言ってもまだ半年はあるが、冬なんて絶対に乗り切れそうもない。


なんで今日に限ってこんなに寒いんだ。



とにかくどこかに入ろう。
そして温かいものでも食べよ--


……?


なんかいい匂いが…



嗚呼、あれか。



[甘味所 花]


看板にはそう書かれている。


あそこに入るか。


店の中は多くの人間で賑わっていた。


適当に開いてる席を見つけ座った。



「ご注文は何にしますか?」



店内に目を向けていると女の店員が近くにいた。



「え、あ…団子を頼む」